季節先行

御身代わり像瑞々し花は葉に

四年前に御身代わり像が完成していつでもお目にかかれるようになった。

とは言え、安置された開山堂のガラス戸には新緑が映りこみ、顔を近づけなければ中の様子は見えない。
芭蕉翁が「若葉して御目の雫拭はばや」と詠んだ鑑真和上の像は御影堂に安置され、毎年6月の三日間だけしか開扉されない。そこで、「脱活乾漆技法」と呼ばれる当時の技法によって忠実に模造した像を毎日参拝できるようになった。
四季を通じて参拝できるわけだが、翁の句が頭にあるせいか、新緑の時期がいちばん似つかわしく感じてしまう。

例年よりずいぶん早く夏の気配である。目に映るのは初夏のものばかり。俳句は季節を先取りというが、今年は季節のほうが先に行く感が強い。

“季節先行” への4件の返信

  1.    若葉して御目の雫拭はばや
    芭蕉の句、いいですね。
    御目が今にも開きそう、鑑真和尚の目にもきっと瑞々しい若葉が心の目で見えているような・・・
    本物の身代わり像があるのですか。
    一度お目にかかってみたいものです。

    所によって体感温度が随分違います。
    筍の生長は昨年に比べ遅れ気味でした。
    しかし山の稜線は瑞々しく若葉は柔らかでうっとりです。

    1. 唐招提寺の初夏は「瓊花」。和上の故郷の花です。夏は蓮のお寺ですから、これからが一番いい季節です。
      機会をみてお出かけください。

  2. 若葉の季節になりましたね。私はこの季節が一番好きです。
    唐招提寺の鑑真和上、えらい人ですねえ。鑑真とくるといつもセットで安倍仲麿のことを思い出します。きっと長安から春日一帯の若葉を思い浮かべていたのでしょう。

    1. 仲麻呂は遭難で帰国がかなわず、鑑真の乗った船は坊津へ。
      鑑真は東大寺戒壇院で戒を授け、ようやくまともなお坊さんが生まれることとなった。仏教興隆の恩人ですね。
      唐招提寺は、いかにも修行の寺として、華美に走らず何とも落ち着くお寺です。

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