蛍の闇に背筋を走るもの
漆黒の闇というのはぞっとするものがある。
蛍というのは、街灯もないところにこそ舞うものなので、よく見ようと懐中電灯を消すとそれこそ闇なのである。まして、雨の時期だから月もなくて真っ暗闇になることは多い。
最初のうちは夢中で蛍をカメラに納めようと楽しんでいても、やがて周りを見る余裕ができると、あらためて恐ろしい場所にいるのだと思い知る。そうなると、もういてもたってもいられなくなって、蛍狩りはお仕舞いになるのだ。
本来、蛍は人里にちかいところに棲息するものだが、最近は里の近くは蛍が生きられない環境が多くなった。だから、人里離れた闇の中はまるで異界のようにも思えてくるのだ。
漆黒の闇というのは慣れている者にとっては神秘的ではありますがさほど恐れはありません。
でも初めて経験する者には恐怖を感じるようです。
昔、孫がまだ幼いころのことです。
蛍を観たいと言うので田舎に連れていきましたがあまりの暗さに恐れをなしたのか怖い怖い帰ろうと泣き出しました。
目が慣れてくればさほど暗さは感じないのですけどね・・・
昔は家の周りを蛍が飛び交っていたものです。
時には窓辺に止まったりしてね。
今は人里離れたところに限られるから、馴れてないと怖いですよ。背筋がぞっとしたりします。
蚊帳の中に蛍を放って楽しんだというのは、風流ですがさすがに今は見られない光景ですね。