曇りから晴れへ

金堂の御開扉さるる良夜かな
御開扉の金堂灯す良夜かな
天平の甍あまねく月明り

今日の唐招提寺は夕方5時から無料で開放される。

観月讃仏会が行われる御影堂の庭は有料だが、肝心の和上像は拝観できないうえ、会式の模様も前庭からでは遠く、燭の灯りだけで行われるので暗くてよく見えないというのが実情である。
だから、月の昇るまでの時間、ところどころの燭だけでほの暗い境内の好きなところで時間をつぶせばいいのだが、何と言っても最高の贅沢は国宝の金堂が特別開扉され、中のこれまた国宝の三尊像が灯りに照らされてそこだけがまばゆいばかりの光を放っている空間である。ここは人も少なく、誰に邪魔されることなくゆったりと浸れる。
照らされた三尊は正面の南大門からもよく見通せて、遠くからも荘厳な雰囲気に引き込まれる。

やがて観月会が終わる8時頃には月も高くなり、境内の松林のうえにようやく顔を出し始める。三尊の尊いお姿を堪能した後は、日本一の月が昇り境内にもほのと光がさしてくる。
月の光を浴びた境内の砂利と暗い建物の陰影とが絶妙なコントラストをかもしだし、幽玄の世界に引き込まれるようである。

奈良盆地は午後3時頃から雲が薄れてきた。
これなら今夜は間違いなく良夜であろう。

“曇りから晴れへ” への2件の返信

  1. 唐招提寺の観月会はさぞや幽玄の世界を醸し出して最高潮を迎えていることでしょう。
    当地も東の空を煌々と照らしています。

    9月は色々なことを思い出す特別な月です。
    5年日記の昨年の今日(9月27日)を見ると御嶽山の噴火、孫の運動会、古希を迎えるとあります。
    今夜は中秋の名月、そして私の誕生日。
    まだ母が入退院の合間に自宅療養していた頃のこと。
    台風後の名月を母と一緒に詠みあったのを思い出します。
    月を見ては母を思い山を見ては母を思い、母は永遠です。
    私にとって9月は
        さまざまなこと思ひだす夜長月

    1. 昨夜は鱗雲が東西に流れ、その間に明るい月がつぎつぎと現れる素晴らしい名月でした。空の雲までも明るくてくっきりと見えるのも空が澄んでるからでしょう。

      お誕生日おめでとうございます。
      お母さんも高いところから昨夜のすばらしい月を楽しまれたんじゃないでしょうか。折に触れお母さまと過ごした時間を思い出される幸せをどうぞ大切に。

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