姿勢

松蝉の楽の瀬音にまさりたる
春蝉の何処と知られず奏しけり

吉野へ出かけた目的は別にある。

兼題「松蝉」というのをこの耳、目で確かめるためだ。
先週のNHK俳句・夏井いつきの回で、兼題の麦畑をゲストですら実際に自分の目で確かめに行ったというのに、司会者自身がサボっていたのには驚いた。実は、わが結社では兼題に対する姿勢をきつく戒められている。これを真面目に守っていたら、とてつもなくカネと時間のかかる趣味なのは間違いないのだが。

さて、季題「松蝉」の傍題に「春蝉」があるが、季は夏である。
初夏に鳴く蝉であるが、平地では聞いたことがない。あるいは、鳴いていても耳には響かなかったということかもしれない。例句を調べるとどうやら、高い山、深山が浮かんでくる。
そこで、吉野の宮滝、国栖まで出かけることにしたのだが、僅か一時間ほどの滞在での発見はかなわず、ユーチューブで確かめた、し〜んと耳鳴りのようにまといつく様子をヒントに想像しながら詠んでみたのが掲句である。

“姿勢” への4件の返信

  1. 松蝉、初めて聞く言葉、もちろんどんな声で鳴くのかもわかりません。
    どこかで鳴いたとしてもきづかなかったりして・・・
    今日は豊田の山奥、三州足助までドライブ。
    紅葉で有名な香嵐渓がある。
    塩の道をたどると長野の塩尻へ続くと言う。
    そんな山奥でも蝉の鳴き声はしなかった。

    帰りは法隆寺金堂12面の大壁及び20面の小壁の飛天図が焼損以前の状態に忠実に再現された模写が展示されているという県立芸大に寄った。
    制作には、片岡球子をはじめ、一流の画家、大学の教員、卒業生ら七千人余が携わり16年の歳月を費やしたそうです。
    春と秋に一般公開されます。
    法隆寺の金堂は入る事が出来ないのでここでしか見られないと言う貴重な大壁画を観ることができた。
    その大きさ(実物大)に驚き、模写技術の高さは7世紀のものと思わせるほどであった。

    1. 奥三河でも蝉の声は聞かれませんでしたか。難しいものですね。もう少し時間を待たなければいけないかもしれません。

      いいものがお近くにあってよかったですね。
      斑鳩では、焼け残った壁をどう保存するかが課題になっています。千年以上生き残った建物が、数十年前まで健在だったのに残念でなりません。

  2. 兼題に対する姿勢、厳しいですね。でもはっきりしてていいじゃないですか。まだ蝉は無理でしょう。多分温度が一定まで上がらないと出て来ない。鳴き出さない。蝉のセンサーは正確無比。だからこそ季語の重要性もあると言えるのでしょうが。

    1. 蝦夷春蝉というのがいて、5月20日頃には鳴くという記録があります。松林に多くいることから名づけられたとか。
      今年のデータとしてはまだ羽化基準に達していないのですかね。

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