つるし柿セット

とっきょりてふ大和のはれ展秋深し

斑鳩の産直市場で買い物ついでに県立民俗博物館まで足をのばしてみた。

博物館は大和郡山市矢田丘陵の裾の公園の一画にある。文字通りのんびりとした里の風景そのもののなかだ。
この秋は、大和言葉で「ハレ」を意味する「とっきょり(時折)」という特別展示が行われていた。冠婚葬祭や盆・正月、祭りなどの年中行事など、この地方で昔から行われてきた暮らしのリズムを紹介する企画だった。
なかには、こういう道具は昔見たよなとうなづく一コマもあり、心穏やかな気分で外へ出たら、鵙が大きな桜の上で鋭い声を発するのを耳にした。

家に帰ったら、さっそく御所産つるし柿セットの皮むきが待っていた。これも「時折」はいいものだが。

里の鳥

アンテナのぷるんと震へ鵙の消ゆ

久しぶりに鵙に出会えた。

だが、ちょっとよそ見をしたらもう姿はなかった。あとは、止まっていたアンテナがぶるぶると震えているのみである。

里の秋

竹林の高みに鵙の標を宣る

秋が来たんだとしみじみ思った。

稲淵の棚田を歩いていたら、突然鵙が鳴きだしたのだ。飛鳥川の縁にかかる竹林の一番高いところに止まって、高々と縄張り宣言しているようだ。
鵙の声というのは、ドラマでもそうだが里の秋を表現するには一番効果的のように思う。

鵙はひとしきり鳴いて、また縄張りのどこかに飛び去った。

ルーチン

巡察の鵙のまた来る律儀かな
巡察の梢に鵙の幾たびか
高枝の鵙の尾羽ふり飛ぶ構へ

同じ場所を巡回しているようだ。

観察していると、一日に何回も同じ枝に止まり、高鳴きし、尾を振るわせては次の枝や屋根に飛んでいく。
テリトリーが確定するまでは気が抜けない日々なんだろうな。
逞しく、しかしどこか哀れでもある。

一喝

寝過ごせし朝を鋭声の鵙叱る

虫食いのように更地が残されている宅地。

そんな、なかば街と化しているところにも鵙が巡回してくる。各家のアンテナに止まり、電柱に止まり、律儀に自分のテリトリーを宣言しているようである。
これまでは漫然と聞いていたが、耳を澄ませて聞いてみると、鵙の高音は婚活期間であるという理由のほかに、秋独特の澄みきった空気とも響き合っていることがよく分かる。考えてみれば当たり前のことだが、建物やあたりに鋭い声が響き渡る朝はことさらその感が強いように思われる。
先日も、ちょっと寝過ごして新聞を取りに出たら、寝ぼけ頭を一喝するように頭上から鵙の声が降ってきた。