御物展巡り茶庭に秋惜む
正倉院展の最終日。
これ以上はない日和に恵まれて、国立博物館を出て、昨夜遷宮されたばかりの春日大社に詣でた。
飛火野に伏せる牡鹿の長鳴ける
奈良公園は鹿の恋の季節。執拗に雌を追いかけている雄もいれば、沼田場の泥でまだぬらぬら光ったままの状態でうろつく牡鹿もいる。堂々とした雄はほとんどが角が切り落とされて、男前が台無しだが、長く尾を引くように鳴く声は低音の魅力たっぷり。あれにはくらっとする牝鹿もいるだろう。
春日さんへの参道に並ぶすべての灯籠には奉祝の貼り紙がされ、新春日を祝う行事が目白押しだ。
新しき春日丹に降る秋日かな
秋ばかりの句を並べたが、今日は立冬。
天気が目まぐるしく秋冬を行き来しているが、しばらくはない交ぜての作句が続くと思われる。