虚子を恨め

火事跡の消火器こともなかりけり

自分で出しておいてなんだが、この「火事」という題は難しい。

今月の同窓生句会の兼題である。
「火事」がなんで冬の季題かどうか分からないのは、これを季題と定めた虚子すら時代的にもうはっきりとしなくなってきたことを認めている。

「『火事』というものは季題ではあるが、他の季題に較べると季感が薄い、ということは言えますね。一体火事という季題は、我らがきめたものですし、火事はいつでもあるが、殊に冬に多いから、というので冬の季題にしたのですが、季感は従来のものよりも歴史的に薄いとはいえる。だからこれは季感のない句であるという風に解釈する人があるかも知れぬ。(中略)そういう人は季題趣味を嫌がっている人ではないですか。だが俳句は季題の文学である。……」(岩波文庫『俳句への道』)

とにかくそう決めたんだから、文句言わずに詠めというわけだ。
そういう理由だから、同窓生諸兄姉よ、幹事を憎まず虚子を憎んでください。
どうかして、冬感が出ればいいんですけどね。それを意識するとさらに難しくなる。

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