炭加減

腸の焦げて哀しき秋刀魚焼く
銀膚の失せて秋刀魚の焼かれけり
秋刀魚火に旬の脂を惜しみつつ
秋刀魚焦がる旬の脂の尽くるなく
旬の脂噴きてやまざる秋刀魚焼く

庭に火をおこした。

たまには七輪で焼いた秋刀魚を食いたかったからである。
さて、炭火も十分におこり、ころはよしと網にのせたはいいが、あまりの火勢にたちまち秋刀魚が黒煙に包まれ、食べ頃となったときにはもはやあの銀色をした皮や身は溶け落ちて見るも無惨な黒焦げになったうえに、だいじな腸まで落ちてしまった。
火が強すぎたのに加え、秋刀魚の脂がのりすぎていたのだった。脂が炭に落ちて燃え上がるまでになったら、もう火の加減をコントロールするのは至難の業となる。塩二年炭三年ほども熟練の技が必要とされるのだ。
鰯丸干しなどはすぐに焼けるし、皮など少々焦げても文句ないが、どうやら生の秋刀魚だけは、火のピークが過ぎて、火勢が穏やかになってから焼くものだと学んだのである。遠火でゆっくり焼くという方法もあろうが、それでは水分が飛んでしまうような気がするが、はたしてどうだろう。

“炭加減” への4件の返信

  1. 今年はサンマが不漁でお値段も少々高めとか。
    代わりに活きのいい鰯が並んでいたので今夜は鰯の煮つけです。

    サンマの焼き方って難しいですね。
    ましてや七輪で焼くとなるとどうしても全体に火が通りにくい。
    丸めて焼くのがベスト、昔の人は知恵を働かせていましたね。

    今日は青空の下、班活動で当地の優良企業ブラザー工業の見学に。
    コミュニケーションスペースでブラザーの歴史、由来などを学び体験ゾーンでは最新式のミシンで刺繍を楽しみました。
    シール作製や撮った写真をその場で印刷できたり子供でも楽しめそうな場所でした。

    1. 秋刀魚は当地でも買えますが、例年より小振りな気がします。それでも味には変わりないです。
      「丸めて焼く」とはどういう方法でしょうか?一匹を輪のように曲げて?

  2. 昔、母がやっていたのは確か尻尾を目玉か頭かに差し込んで輪にして焼いていましたよ。
    そうすると丸い七輪に沿って均等に火が通るというわけです。
    子どもの頃は庭で七輪に炭を起こして焼くのが普通でしたね、懐かしいです。
    今じゃグリルで両面焼きができるのでこのやり方は邪道でしょうか?

    1. なるほど、そうすれば七輪に沿うわけで理にかなってますね。
      わが家ではグリル洗うの大変だし煙りもひどいので、フライパン使ってるようですよ。

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