正倉院右二月堂凍ゆるむ
東大寺裏はまだ人もまばら。
岐れ道にかかると、二月堂あるいは正倉院への道しるべが控えめに、しかし明瞭に示されていて、ここへ来るたびに今日はどっちにしようかと迷うところでもある。
あたりを見回してみると、芝地が広がっていて、例によって鹿の糞がまばらに散っているのだが、ここのところの寒波で半ば凍っていたと思えるところが緩び始めているようだ。
ゆかるみを踏まないように芝地を歩いてみたが、舗装路ではない独特の感触が足裏にこころよい。
その余勢をかって二月堂の坂を進むことにした。
もうすぐ二月堂のお水取りが始まる頃でしょうか。
そういえば今日の夕刊で面白い記事を見つけました。
東大寺の大仏が肩まで風呂につかるには何リットルのお湯が入る風呂が必要か?
こんな数学の問題を記した額が大仏殿内に掲げられたそうです。
問題は二問でもう一問は東大寺の鐘は半径何キロまで届くか?
興味のある方は日本数学検定協会のHPをご覧ください。
算数の苦手な私は問題外・・・
「算額」といえば、知恵を絞って和算の傑作集を競って掲げたという。東大寺算額もなかなかユニークな問題。風呂は適当に計算すればそれなりの数字が出るとして、大鐘がどこまで届くのかはどう計算しますか。
東大寺を散策、四季それぞれ変化があって飽きないでしょうね。若草山の山焼きが済んで次はお水取りですか。南都仏教の聖地を我が庭のように逍遥できる。ホント羨ましいです。句作も捗ることでしょう。
この時期は手向山の八幡宮はひっそり。社務所には人影さえ見当たりませんでした。管公の腰掛石にかかる楓もすっかり葉を落として、人手が戻ってくるには時間がかかりそうです。今月下旬には竹送り、水送りの行事が続き二月堂から春が始まります。あとひと月でしょうか。
大仏殿裏から二月堂に緩やかに登る道は、司馬遼太郎が
「日本一の散歩道」、と称した所。
私も 大好きな所です。
不思議なのは、そんなに素敵で 且つ、有名な道なのに、
いつ行っても、人が適当にしか居ないこと。
(今は、研究熱心な外国人旅行者が 占拠しているかな?)
正倉院右二月堂凍ゆるむ
“凍ゆるむ”って 造語ですか? 上手いなぁ~。
あの坂を下から見る写真や絵画が多いですね。両側が築地塀でしかもストレートではないこと、道幅が適当なこと、傾斜が緩い階段であること、そしてその奥に二月堂が望めるということ、など僕も大好きな道です。
観光客、とくに外国人は鹿と戯れるのが人気で、建物とか仏さんとかにはそれほど興味引いてるようではないです。日本人も同じですが。とくに戒壇院、法華堂(三月堂)は建物も国宝、仏さんも天下一品ですが、ひと気は稀というか、極少。
「凍ゆるむ」というのは春の季語「凍解」の傍題というか類題です。日本語の自然への感覚は素晴らしい。