腹出しの子は昔日か鳥雲に
巨星墜つ。
現代俳句の旗手金子兜太が亡くなったという。
死ぬまで俳句界を率いて巨大な足跡を残してきた人だが、代表句の一つに、
曼珠沙華どれも腹出し秩父の子
がある。
野山を走り回る田舎の子の逞しさを謳い、曼珠沙華の生命力に自分を重ねた句と言われるが、これなどは誰もが理解できる素朴な部類に入るほうで、なかには難解な句も多くてそれが私には印象に強く残る人である。
先々週だったか、やはり俳人の大峯あきらも亡くなり、俳壇も寂しいかぎりだが、俳句人口の裾野を広げること、若い才能の台頭が待たれている。
中日新聞「平和の俳句」選者として2015年元旦から昨年八月選者を退く最晩年まで存在感を示されました。
兜太先生の句は近代詩文書の課題として取り上げられることが多く何度も書にした記憶があります。
そうですか、大峯先生も逝かれましたか。
何年か前の丁度今頃の句とし書にした不思議な感じの句。
お二人の先生を偲んで
梅咲いて庭中に青鮫が来ている(兜太句)
青空の太陽系に羽子を突く(あきら句)
両句とも、異次元の詩のようです。
兜太句などは、トラック島からの引き揚げの眼に映ったものたちのことなんでしょうか。強烈です。
あきら句は、なんとスケールのでかい羽子つきでしょうか。