温める

片寄せて春塵拭ふ玻璃戸かな

今日はかつての環濠の町、一向宗の拠点ともなった寺内町の吟行である。

飛鳥川が大きく蛇行して東から北へ向かうところにある今井町は、信長との長い戦を経て赦免され、その後商業を中心に大きく栄えてきた。往時をしのぶ建造物は今も守られて、重文指定された豪商の館などが多く残っている。
建造群全体が保存地区に指定されているので、新改築にも厳しい基準が課されているので、町並みが揃って美しい町である。
だが、句材としては、町の中よりむしろ周辺に多く散在し、思った以上の数が得られた。
たとえば、濠の一部が復元されて浄化された水が循環しているようであるが、水辺には菖蒲や葦の芽生えも見られ、まさに水温む光景を堪能したり、椿の大樹の見事な咲きっぷりにみとれたり。
短い時間に思うとおりに詠めないのが吟行というものだが、温めていればいつか芽を出すこともあろうかと胸にしまい込んでおくとしよう。

“温める” への2件の返信

  1. 春の日差しをたっぷり浴びての吟行。
    古い町並みや自然の営みなど句材も豊富で何から手を付ければとうれしい悲鳴。
    ゆっくり熟成させて美しい町並みを再現させてください。

    今日は玻璃戸が読めなくて調べました。

    1. 心配してた花粉もたいしたことなく、天気としては最高。
      明日はまた雨とかで、いよいよころころ変わる季節で、梅が咲いたら桜はもうすぐ。当県は4/2がピークだとか。

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