町広報戸ごとに配る朧かな
薄雲の行灯めける朧月
今宵の月こそ典型的な春の月だ。
薄絹をまとうような、薄雲の行灯明かりが夜空をひろくおぼろに照らしている。
秋の澄明とも、冬の玲瓏とも全く違う夜空で、それが下界を統べるがごとく頭上に広がっている。
まことに春の月とは、月単独ではもの足りず、水蒸気を帯びた空気、そして薄絹のような雲とあいまって朦朧の世界を生み出すのだ。考えてみると、これはまさしく季題の本意であり、いくら夜空をながめてもこの本意と響き合うような着想が浮かんでこないのは悲しい。
そんなことを考えながら、本年度班長として最後の広報を配って歩くのだった。
ゆうべはまさに朧月夜でした、思い出すのは源氏物語の朧月夜の君。
照りもせず曇りもはてぬ春の夜の朧月夜にしくものぞなき(大江千里)
一年間のお役目、お疲れさまでした。
弥生尽、いろいろありました。去りゆくもの、新しいものなど悲喜こもごも。
当地では45年間続いた児童書専門書店「メルヘンハウス」が閉店しました。
一時絵本にはまった私もいろいろ取り揃えました。
この書店に刺激されて「クレヨンハウス」を開いたのが作家の落合恵子さんです。
これから書籍の世界はどうなっていくのでしょうね。
そういう私も年々本から遠のいています。
やっと「空海の風景」読み終えました。長編は少ししんどい。
空海については真言宗の開祖と言うことぐらいの知識しかありませんでした。
ただの伝記風ではなくそこは「空海の風景」と題した司馬さんの世界でした。
大岡信さんが解説していたのも懐かしい。
久しぶりに司馬さんの筆致に魅せられついでに短編「故郷忘じがたく候」も。
思えば今年に入って読んだ本は藤沢周平の「一茶」に続きたったの三冊、これではあまりにもひどい。
さあ!!今日よりは四月、ゆっくり休養して蓄えたエネルギーで少しずつ活動を開始していこう。
秋灯の机もいいですが、紅茶などてもとに春昼あかりでの読書も楽しいでしょうね。
視力もすっかり回復されたことでしょうから、ページも進むのではないでしょうか。