雨のかんばせ

花合歓やまつげこぼるる雨しずく

合歓の花とくればどうしても芭蕉のあの句が立ちはだかる。

象潟や雨に西施がねぶの花

雨に煙る象潟に沿うように咲いていて、伏し目がちの風情に気品あふれる合歓の花であったのであろう。
今日の雨の日、合歓の花を間近に見るチャンスがあった。高く育つ木なのでたいていは下から見上げることが多いのだが、今日はまだ幼木というか若い木だったので手にとって眺めてみた。

まるで、ぱっちりしたお目々のまつげだ。
これが雨に顔を曇らせている美人の愁いのかんばせの小道具だったのだ。

“雨のかんばせ” への4件の返信

  1. ほんのり紅い合歓の花を雨の雫がすべる。情景が浮かびます。

    我が家に合歓の木がなくなりこの辺ではあまり見られません。
    好きな木は田舎の場所で毎年確認しています。
    冬から春にかけての梅、夏は合歓、秋はモミジと・・・
    まだ合歓の花は咲いていてくれるでしょうか。

    1. どういうわけか、伊賀にはやたら合歓木が多いという気がします。ここ奈良でも山間部ではそうです。関東ではそうそう見る木ではないので、地域性があるのかなと思っています。

      今最盛期ですから、故郷は合歓の花に包まれていることでしょう。

  2. 花合歓のまつげすべれる雨しずく

    これは好い句ですねぇ。

    合歓と言ったら どういう訳か雨を思い出します。そうそう、
    蕪村の名句があったな、と検索したら、すぐ見つかりました ;
      雨の日やまだきにくれてねむの花

    でも ほだかさんの 「花合歓のまつげ」、これで完勝ですね。

    1. いやいや、蕪村先生の足元には到底及ばない句です。
      どうしても、象潟のイメージが強く、あの睫のような花は、貴婦人の愁いの睫であり、手に持つ扇のようにも見えて、西施が生まれたのかなとも思っています。

      あとは美智子皇后のお話。
      合歓の花を詠むのは難しいものです。

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