半世紀前のこと

鳶口に伐竹継いで杣の衆

村の外れから伐ってきた青々とした竹を燒く。

燒かれた青竹から油が滲み出て、やがて薄茶色の艶を帯びてくる。
火で焙れば竹の腰が強くなるのだ。それに、燒かれてほとぼりの冷めぬ間なら曲がった節を矯正もできる。
盆休みも終わってまた日常が戻り、今日から山の切り出しなのだ。
鉈を帯びた腰には野沢菜で巻いた目張りずしをつめた弁当も巻き、手には焙った竹に継いだ鳶口を握っている。
一同が揃うとめいめい三輪オートの荷台に乗って今日の山へ向かった。
今から5、60年ほど昔のことだ。

“半世紀前のこと” への2件の返信

  1. トラックやオート三輪の荷台に人が乗るなんて今なら道路交通法違反になるのだろう。
    それこそ5、60年前は誰にも咎められず当たり前のように乗っていた。
    修学旅行で最寄りの鉄道駅まで全員トラックの荷台にまるで物のように乗せられて運ばれた。
    今では信じられないような田舎の光景である。

    1. トラックのキャビンに手をかけて走ると、風が顔に当たって気持ちよかった。時速せいぜい40キロの時代だったからね。

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