寂しい堰堤

野暮用のつもりで出でて桜狩り

奈良はこと桜に関しては面白い県である。

大和川を本流にした支流があれほど多いのに、堰堤に桜が植えられているのは稀なのである。
たまにあっても何十本も連なっているわけでなく、ところどころ10本ほどが植えられてる程度だし、そのうえ両岸に植えられたところなど殆どないといってよい。
桜の堰堤というのは両岸の桜がその枝を接するばかりにアーチを形成してはじめて桜の名所になるのである。
したがっていかんせん大河では趣も大味になってしまうのだが。

奈良の堰堤に桜の名所がないのは、寺社仏閣などすでに名を得た名所に遠慮して新たな桜名所を作るのをはばかっているためではないだろうかとさえ勘ぐってしまう。
実際には昔から氾濫をおこす川の周りには人家が少なく、桜など植えてもしょうがないというのもあるだろう。ただ、そんな畑に囲まれた川にも桜はおろか柳もなんにも植えられてない。あるのは、堰堤にではなく河原にであり、それも上流から流れてきた種や苗が根づいたものだ。およそ殺風景といったらこのうえない。自転車専用道も同じで走っていても実に味気ない。

また、「奈良の寝倒れ」という言葉がある。
要するに、あまり外を出歩かない県民性がある。
おらっちの川を桜の名所にして人を呼びたいなどという酔狂な人も少ないのだろう。
なにしろ一人あたり最も飲食店の少ない県なのである。そんな風に数字で聞かされるより、実感として外で食ってみたいと思わせる店がまったくないのだから。

“寂しい堰堤” への5件の返信

  1. 堰堤に桜がないのは珍しいですね。
    当地では公園以外での桜の名所は、ほとんどが川に沿ったところにあるように思われます。
    もちろん我が家周辺も当然、堰堤の周辺は桜が多いです。

    昨日久しぶりの春らしい陽気に誘われてウオークング。
    桜はほぼ7~8分になったでしょうか。
    遊歩道や堤の斜面にはブルーシートの上で花見や 寝そべってる人も。
    知り合いからお茶の提供を受けました。

    途中、川の水を利用した噴水があります。
    7本の噴水が弧を描いて青空に向かって勢いよく噴き上げていました。
    メインは50メートルの高さとのことでした。
    気持ちの良い穏やかな春の一日でした。
                川面より 噴水高く 春の虹

    それにしても「奈良の寝倒れ」とは面白い。

    1. 普通の街では堰堤があれば何らかの木を植えますよね。ところが奈良には目立ってそういうものがない。そういえば、街路樹というのもあまり目立たないな。寂しいといえば寂しいです。

      50メートルもある噴水って壮観です。自然に人も集まるでしょうね。噴水は夏の季語なので、あえて使うなら「春の噴水」のような用法がいいかも。

  2. そうっか!!噴水は夏の季語。
    相変わらずうっかりミスや変換ミスの目立つ私です。

    今日も好天に恵まれ反対(河口に向かって西)方向へ。
    しばらくご無沙汰していた緑地公園までついつい足を伸ばしてしまいました。

    土手には一気にふぐり、仏の座、たんぽぽ、菜の花等、他にも名前のわからない草が色とりどりに咲き乱れています。
    中にはまだ土筆を取っている人もいたりして・・・

    さすが、公園内は満開の桜。
    平日にもかかわらず花見客で賑わっていました。
    雪柳、辛夷、木蓮もお揃いでお出迎えです。

    私、何気に手ぶらで出てしまいお金無なし、お茶無し、弁当なし。
    二時間も歩いたら帰り道へばってしまい家が見える頃にはふらふら状態。
    これからの時期、水分補給に要注意ですね。

  3. この週末からぐっと暖かくなりましたね。都内も満開です。これでは次の土曜日まで持たず、吟行は散り際の桜を詠むことになりそうです。

    そう言えば吉野の山桜はともかく、奈良では桜のことあまり聞きませんね。

    「いにしへの奈良の都の八重桜けふ九重ににほいぬるかな」(No.61 伊勢大輔)

    これは、八重桜ですもんね。ちょっと違うんでしょうね。

    1. 斑鳩から難波に通じる竜田道では桜がわりに多く読まれているようです。前に紹介した「わが行きは 七日はすぎじ 竜田彦 ゆめこの花を 風にな散らし」(巻九・一七四八)など。秋は紅葉、春は桜の名所でもあったのでしょう。

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