初桜

春雨の暗きに深き平群谷

雨の中、平日の都会に久しぶりに出た。

途中雲が低くのしかかって平群が静かだ。生駒も半分くらいは雲に覆われている。
竜田川(実態は生駒南から平群谷を下ってくるので平群川と言ったほうが分かりやすい)をさかのぼるように電車は生駒に向かい、途中隘路になったような渓谷が深く切れ込んだあたりが、役行者が修行したと伝わる女人大峯山「千光寺」への上り口となっている。
ここは春の新緑、秋の紅葉がすばらしく電車で通過するたび窓外に目を転じて楽しんでいる。はしなくも今日その渓谷を渡るあたりで勸請縄がかけてあるのを発見して驚いた。あっという間のことだったので何をどこから守ろうとしているか、何も分からず仕舞いだったので、あらためて訪ねてみようと思う。
帰りには雨がやんでいて、生駒の中腹から盛んに雲が湧き、平群谷は春の地熱に包まれているような柔らかさがあった。

山ひとつ越えて家路の初桜

駅に着いたら朝には気づかなかった桜が一輪開いていた。染井吉野はまだだが、早桜はもう始まっている。

“初桜” への2件の返信

  1. 身近なところで勧請縄が見られるなんて絶対行くべきですね。
    これはちょっと面白いなと早速Wikiで調べてみたらリアルな映像を見ることができました。
    「奈良県平群町椣原の勧請縄は、生駒山と矢田丘陵にはさまれて、竜田川が北から南へと流れるなだらかな谷地で、近鉄生駒線がそれに沿う様に走る」とありまさに御当地じゃないですか。
    お天気も良くなりそうなので明日にでもいかが?

    1. 椣原は「しではら」と読むようですね。
      このあたりは旧道となっており普段は通りません。新道は平群谷の一番高い部分を走るようになっています。だから新道の眺めはすばらしく、東西に生駒信貴、矢田山、南に二上、葛城が望める景観は奈良の中でも指折りです。
      旧道の辺りでは温泉も出て、かんぽの宿も人気です。
      現場は谷の陰で、はたしてどんな集落があるのかどうか、現地に立たないと分かりませんね。
      吟行の狙い目は新緑でしょうか。

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