今年もこういう時期になりました。
今年の句を振り返って見ます。
なかには、当ブログに掲載しなかったものも含みます。
作成順に並べてあります。
笑み佳きに並び福笹授からむ
つまびらかならぬ古墳に若菜摘む
燃え残る若草山の春時雨
雲厚き空のどこかの初雲雀
曇天の馬酔木の房の重たしや
闘牛の小兵といふも綱を張る
かたかごのかんばせ風に伏せしまま
花筒に野辺の蒲公英足しにけり
雨に剪る供花の葉裏のかたつむり
どくだみの醜草寄せぬほど増えて
このなかでは満足の句は何と言っても「かたかご」です。大宇陀の薬草園のかたくりはそれは見事な群落を楽しめます。しかも九十九折の階段径の急斜面に咲くので、屈まなくても通路からは仰ぐような形で間近に花をしっかり見られるのです。面前に早春の冷たい風に震えているさまをみることができ、これを言い止めたいと何度も何度も言葉探しを繰り返しどれも満足できなかったのが、何日かたったあるとき不意に「かんばせ」なる言葉が降ってきたような不思議な感覚で誕生したものです。風に煽られないようしっかりうつむきに耐えている様子を詠みました。
次が「蒲公英」の「足す」、「若菜」の「つまびらかならぬ」が手柄でしょうか。
ほかには、「福娘の笑み」でしょうか。ただひとり黒人系の娘の前には誰も並ばないのを気の毒に思って顔を合わせると、にっこり素敵な笑顔を返してくれたのが印象に深く残っております。
自句を説明するのは野暮ですが、記憶に残したい句ということでお許しください。
好きな順に並べました
かたかごのかんばせ風に伏せしまま
花筒に野辺の蒲公英足しにけり
曇天の馬酔木の房の重たしや
全てが花の句になりました。
下向きに咲くカタクリの花、重みのある馬酔木の房、花筒の蒲公英の黄色。
みんな好きです。
ありがとうございます。
花筒は不退寺裏にある業平供養塔に寄ったとき、道の辺の蒲公英を挿し足していささかの敬意を込めて詠んだものです。