今年の句から(前編)

今日、明日と2回に分けて今年1年のなかから各10句選んでみます。
なかには手を加えたものもありますが、まだまだ満足できるものはありません。

淡雪の溶けゆくごとく愛猫逝く

窓はなち宵夜の底や沈丁花

花衣異国の言葉を交わし居り

紫陽花の姿勢正しく雨上がる

欠いた歯の愁いそのまま梅雨に入る

この道をたどれば三輪へ麦の秋

陽の当たる当たらぬ日あり向日葵草

一日の汗かききって夕の風

国道は渋滞にして萩こぼる

八月は母と同居で始まりぬ

“今年の句から(前編)” への9件の返信

  1. どの句もその折々の思いがこもっていて良いですね。
    私の一番好きな句を選ばせてもらうとすれば
    この道を たどれば三輪へ 麦の秋

    どこまでも三輪に向かって歩いて行きたくなるような秋の情景が目に浮かびます。

    1. ああ、この句は同級生でつくる句会で首席をいただいたものです。自分でもお気に入りです。
      「麦秋」とは麦の穂が金色になることから初夏の季語なんです。「竹の春」も秋だったり。ややこしいですね。

  2. 窓はなち 宵夜の底や 沈丁花

    一票投票します(^ ^)笑
    こんなことがあったなどと思い出されますね。

    今日は一体何曜日なんだ、なんてなんとなく生きている私より毎日の習慣、俳句を書き留める作業は大変でしょうが、人生が何倍も密になりますね。

    1. 投票ありがとう。
      これは夜の底から沈丁花の香りが生暖かい空気とともに立ち上ってくるよ、という春の訪れを喜んでいる句なんだけど、上五がまだ気にくわないところがあってなかなかいいのが浮かんでこないんだよ。生暖かい春の宵の空気感を出せたらいいんだけどね。
      宿題だね。

  3. 素晴らしい試みですね。毎年20句選び15年で300句。そこからベストテン、ベストワンを選ぶ。句作への励みにもなるのじゃないでしょうか。是非やってください。

    三茶撰
       天  淡雪の 融けゆくごとく 愛猫逝く
       地  この道を たどれば三輪へ 麦の秋
       人  一日の 汗かききって 夕の風

    以上です。。
       

    1. 15年のベストワンめざして。がんばります。ありがとう。
      360句以上詠んでも拾えるものはごく僅かというのが悲しいですね(笑)
      振り返ってみると月によってもばらつきがあるようです。1月からは一句も採用できるものがなかったりして(泣)
      こうしてみると「汗かききって」が意外にいいですね、我ながら(笑)

  4.  楽しい試みに私も参加します。

     南天撰
         天  この道を たどれば三輪へ 麦の秋
         地  淡雪の 溶けゆくごとく 愛猫逝く
         人  国道は 渋滞にして 萩こぼる

     これ毎年やってくださいね。

    1. 講評ありがとう。
      これで2点句が二つになりました。「麦の秋」「淡雪」。そうなんです。猫ちゃんが急死した日も寒くて雪が舞っていました。
      対して渋滞の国道は酷暑で、沿道に早い萩が咲いていました。
      来年の20句は、もう少し胸をはって披露できるようにがんばります。

  5. このように10句の中からいざ選ぼうとするとなかなか難しいですね。
    また、1年365日毎日句を作った中から作者が自分で選ぶのもさらに困難を極めたのではないですか。それぞれに何らかの思い入れ等がありますからね。
    自分の感性で選んだものは次のとおりです。
     ・窓はなち 宵夜の底や 沈丁花
      *真っ暗な夜道を歩いていて匂って来る沈丁花の香りが大好きです。季節感が伝わりま   すね。
     ・この道を たどれば三輪へ 麦の秋
      *広い麦畑の中を一本の道が延々と三輪山に向かっている様子が目に浮かびます。
     ・一日の 汗かききって 夕のかぜ
      *畑仕事等をして汗をいっぱいかいた後、夕方の風にあたり、清々しさを感じさせまね。 

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