自然児のフォルム

初夏や狼像の四肢の爪

東吉野村というのは、明治期日本狼が最後に見られた村だそうです。

若い雄だったそうですが、英人に買い取られ大英博物館の標本として保管されているとか。この標本をサンプルにした狼像が同村小川地区の高見川沿いに建立されていて、近くには山茶花主宰三村純也の句碑がある。

狼は亡び木霊ハ存ふる(おおかみはほろびこだまはながらうる) 三村純也

揚句はその狼像を詠んだものであるが、鋭く太い爪をしっかり大地に踏ん張り咆吼する姿が非常に美しいシルエットをみせている像である。

“自然児のフォルム” への10件の返信

  1. 狼というと一般的には恐ろしいイメージ、オオカミ少年とかもね・・・
    同じオオカミ科なので犬に似ていますよね。
    実際のオオカミは動物園でしか見たことがありませんが咆哮する姿は孤高そのもの。

    シートンの動物記 オオカミ王ロボ。
    昔、子どもたちに読んでやりなら自分が泣いていた記憶があります。
    どんな動物もお話の中では心優しくヒューマンな部分に感動です。
    なぜかオオカミは憎めない、絵本や童話の読み過ぎかな?

    東吉野村は昔狼が出るほど山深い秘境だったのですね。

    1. 日本の山に狼がいた時代、生態的には鹿とか猪などとのバランスが図られていたとか。今はその役割を果たすべくもないのですが、この狼像には贅肉はなく山野を走り回っていた姿を彷彿とさせるすばらしいものでした。

  2. 東吉野村、地図で見てみました。随分山深いところですね。組織だった吟行でしか行けないでしょう。句材もいっぱい、益々俳句の懐が深くなり結構だと思います。

    この伊勢街道は奈良時代は斎宮が伊勢に下るときの道であり、平安時代も伊勢からの帰りはこの道を使ったようです。狼も出たかもしれず命がけだったのでしょうね。

    1. 三重県境の村ですから、高見山を源流とする川も奈良県側が高見川、三重県側は櫛田川になります。櫛田川と聞いた途端親近感を覚えますね。

      桜井から車で1時間もかからないので案外楽に行けそうですよ。今の時期のドライブは最高だと思います。

  3. ニホンオオカミはTV等で剥製で見たことがあります。
    かつて自然豊かだった日本にはオオカミがいて森の自然体系の頂点にいた動物ですよね。最近は猪や鹿等の食害が問題とされていますが、かつてはオオカミの餌になっていたりして、生存数のバランスもとれていたんだろうね。
    ニホンオオカミと並んでよく話題になるのがニホンカワウソです。絶滅種としてTV等で話題にのぼりますが、ニホンオオカミと同様毛皮にするため、乱獲されてしまったようです。

    1. 人が自然に手を入れた結果ですね。あるいは毛皮ほしさの乱獲など、人間の仕業の結果責任は大きいです。
      狼も明治後半には姿を消したということは、欧米にならった近代化の負の側面でしょう。
      話は変わりますが、奈良に来てつくづく感じるのは廃仏毀釈の愚策。明治政府の最大の悪政です。タリバンのバーミヤン仏像破壊を非難する資格は我々にはありません。恥ずかしいことです。

      1. 廃仏毀釈等の明治政府の近代化政策の影響か価値ある仏像や古美術品が随分欧米に買い取られて、今では日本文化の研究のため欧米に出かけていく始末ですね。
        時の為政者の取る政策で従来の文化や価値観否定される愚を繰り返しては行けませんね。大いなる反省点だと思います。

        1. 今大阪市立美術館でボストン美術館日本展が開かれています。こういうニュースを聞くたびに、明治の海外流出がいかに大規模だったのかためいきが出てしまいます。

  4. すっきりとして、かつ逞しさが感じられる句ですね。
     最後の日本狼は大英博物館で標本として保管されることにより、永遠の命をもつことができたのだと考えることにしましょう。

    1. 句にコメントをありがとう。大地を踏ん張る立派な爪でしたよ。
      永遠の命、、、いい言葉ですね。あれだけ山が深いと今でも生きているのではないかと信じたいです。

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