人の営み

沢水の零るるところ著莪の花

乱れ咲き沢になだるる著莪の花

よく手入された杉林の裾一面が著莪の花で覆われている。

山から沁みだした水を受けた樋からはほとばしるように飛沫があがり山水が小流れに導かれてゆく。一方、ありあまった水は沢をうがち、その沢になだれ込むように著莪の花が乱れ咲いているかと思うとそのまま高見川へと咲き降りてゆく。

著莪はかなり古い時代の帰化植物だそうである。人工林である杉山に生えているということは、なによりここには古くから人の生活があったという証なのである。

著莪の咲くすなわち人の営める

“人の営み” への8件の返信

  1. シャガの良い句が詠めましたね。
    一句めの零るるの句が好きです。
    アヤメやカキツバタのような華やかさはないけど控え目な色合いは山間にお似合いの花です。

    1. コメントをありがとう。著莪がごく自然に咲き乱れているのを見るのは初めてでした。目で追って行くとあるは、あるは、ついには川の中にも続いているような錯覚におそわれるほど。いい景色のおかげです。

  2. シャガの句いいですね。
     「零るる」の句は清らかな感じがよくでています。
     「なだるる」の方は句に勢い、動きがあっていいですね。
     二句とも素晴らしいと感じました。

    1. コメントありがとう。「なだるる」の句は調子が今ひとつなので、舌に乗せて違和感がなくなるまで推敲が必要だと思うんですが、なかなか最初の発想から抜け出られません。むずかしいものです。

  3. 見た目はアヤメに見ているけど、”シャガ”というんですか。初めて聞く名前ですね。
    スギ林や竹林など人口林に見られるのでは、町中など身近なところではなかなか見られないですね。
    種子が発生しない植物はめずらしいですね。人間が介在しないと分布が広がらないのに、帰化植物としてよく生き延びてきましたね。
    それだけ日本人には愛されてきた花なのかな。

    1. 大和市の泉の森公園内の通路というか土手のようなところに咲いているのを見たことがあります。もちろん人手による植栽でしょうが、それが広がった感じでした。公園管理事務所で聞けば場所が分かるかもしれません。

  4. さすが写生に努めておられるせいでしょうか、文章が一段と格調高くなりましたね。著莪の乱れ咲く様がよく分かります。あの清楚な色合いは日本古来のものかと思っていました。

    1. 文章が硬いと子供に言われています。しかし、これ以外の書き方はできないのです。貴君のようなユーモアも持ち合わせないし、手垢の付かない言葉で、現場を見た本人しか書き得ないような言葉、書き方を心がけています。
      著莪を奈良で最初に見たのは甘樫丘公園内でした。あちこちにあるわけではないですが、この季節ならばたまに見つけることができますね。

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