テレビで吟行

取り分けの菊を地蔵に白川女

実際に見たわけではなく、BS3のシーンからいただいた句である。

今どきの白川女は軽自動車だ。かつてのように頭上の簑に花などを盛って一軒一軒得意先を訪ね回った姿は、さすがにもう見ることはない。伝統の出で立ちは地元保存会の努力によって辛うじて受け継げられているというが。
ある白川女は、行商に出るたびに家に置いてきた乳幼児の無事を祈って京の子安地蔵に花を供えた習慣を今も忘れず、行商が終わると必ず地蔵様に立ち寄って新しい花を手向ける。

これは石仏や地蔵さんが辻つじにある京都の風景を描いた番組だったが、最近はこのような番組はなるべく録画して、あとで句帖を手にじっくり見ることが楽しみになっている。言ってみればテレビ画面を通した吟行みたいなものである。遠くにいても句材には困らない。いい時代になったものである。

NHKはCMを流さないかわりに番組宣伝をさかんにやってくれるので、こうした日本人とその生活、地域の風土などを流してくれる番組を拾いやすい。
つい最近だが、毎週月曜日から土曜日の朝7時から毎日10分間、過去に放送した番組の中から里山の暮らしを抜き出した番組があってファンになった。番組の最後に象徴的な意味合いで季語も紹介されるのがまるで映像歳時記のようでもある。
いつ頃から始まった番組かも分からないしいつ終了されるかも分からないが、続く限りは取り続けたいと思う。

今後こうした番組からヒントを得た句が増えるのは間違いないだろう。

“テレビで吟行” への2件の返信

  1. NHKは勿論、民放もBSはいい紀行番組をやってますね。普段はTVで疑似体験し偶には実地に出かける。庶民にはそれが精一杯でしょう。取分け京都は毎日のように目にすることができます。ありがたいことです。

    1. 京都の春夏秋冬、伝統工芸・美術品、市井の暮らし等々さすがに素晴らしい番組が多いですね。
      なかでも、BS3で「京都人の愉しみ」と題する常盤貴子が和菓子屋若女将に扮した京都案内の番組の大ファンです。

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