帰り花かとみたが

玉砂利に粒と溶けゆく木の実落つ

椎の実がいっぱいこぼれている。

ただ、落下した先が境内の玉砂利で、木の実はまるで石の粒になったように溶け込んでいる。

ここは奈良市白毫寺。
晩秋の奈良盆地を一望できる素晴らしい立地だ。
萩の寺、五色の椿の寺として知られるが、秋でもあり冬と言ってもいいこの時期の句材が数多くある。

名にし負ふ花の札所の冬桜

とくにこの日目立ったのが冬桜、これから紅葉のシーズンずっと咲くというので十月桜とも言える。
小型の地味な花で枝いっぱい咲いていても、春のような絢爛たる華麗さとはまったく無縁なのが冬桜の特徴。

白毫寺へ登る萩の石段は有名で、その途中で冬桜を見つけたときはてっきり帰り花かと勘違いし、

乱磴の歩をゆるめては帰り花

と詠んでみたが、場所を特定しているわけではなし、これはこれで創作句として通じるのではなかろうか。

“帰り花かとみたが” への4件の返信

  1. 先日田舎の友人と散歩していた時のこと。
    椎の実、椋の実、桑の実、あけびの実、実とつくものは何でも口に入れたね、なんて話題で盛り上がりました。
    そんな時代でした。

    1. 今から思えば決してうまいとは言えないものだったですね。
      ただ、当時はそれしかないからこんなものだと思っていた。
      知らない方が幸せがあるとは何とも皮肉なことですね。
      人間の欲望ってどこまでいくんでしょうか。

  2. いつもの公園散歩から戻って書いています。
    さっき私も十月桜みてきました。木いっぱいに花をつけていますが、なんか儚げで、春の桜のイメージとは異なりますね。
    その隣に大阪冬桜があり、こちらもちらほら咲き始めていました。
    今日は小春日和で散歩には最適でした。

    1. 十月桜といい、先日の金鈴子といい、なかなか趣のある公園が身近にあっていいですね。
      暦ではまだ秋ですが、昨日今日はまさに小春日和、小六月と言っていい天気が続いてます。しばらくは好天気が楽しめるとか。
      盆地内の紅葉がそろそろ見頃を迎えようとしています。
      昨日の奈良公園の桜紅葉は見事なものがありました。人出も最高で、正倉院展は大変な行列。駐車場探しが大変でした。
      秋惜しむ候、目は外へ。

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