雲雀野のオレンジ特急

風鐸の騒ぐは一基春疾風
風鐸の音を攫ひゆく春疾風
春疾風大風鐸を弄ぶ
料峭の風に風鐸響きあふ

平城京の復旧工事もずいぶん進んでいるようだ。

あまりの風の冷たさに逃げ込んだのが、大極殿すぐそばに完成した情報館。ここで、VTRなど鑑賞しながら暖房に身を温めて吟行再開。
外ではバーダーたちが身じろぎもせずに三脚に据えた望遠鏡を覗いている。平城京跡は鳥たちにとってサンクチュアリだけに、次から次へといろんな鳥たちが顔見せに来てくれて、今日の人気一番は「アリスイ」。半径10メートルほどの人垣の真ん中にゆうゆうと餌を探している。
朝の内は風花も舞って、耳も手も痛くなるほど寒くて雲雀は出ないかとあきらめていたら、やがて日が高くなってくると目の前のそこかしこに雲雀が揚がりかつ落ちてくる。家の近所でもよく見る雲雀だが、これほど多くの雲雀を目の前にするのは初めてだ。

雲雀にしばらく見とれていると、大極殿の大きな風鐸がおりからの風に激しく揺すられて、重厚な響きが聞こえてきた。どういうわけか,四隅のすべてが鳴るのではなく、西側のひとつだけが騒いでいて、そこに風が通っているのがよく分かる。
大極殿を見晴るかして、そのずっと向こうには若草山の末黒野が見える。

南に目を転じると、近鉄特急のオレンジがひろい宮跡を横切って行った。

雲雀野を分けて特急突っ走る

2 Replies to “雲雀野のオレンジ特急”

  1. 風鐸ってどんなものかと調べてみたらyoutubで平城宮跡大極殿の風鐸の鳴る音を聞くことができました。
    金属的な音ではなく重厚感がありました。
    昔ながらのオレンジ特急も絵になりますね。

        料峭の風鐸の音を攫ひゆく
    読めずにこれも調べました。
    今日の天候ならでこその句、いいですね。

    1. 「料峭」に頬を刺す春の冷たい様という意があるのですが、「春の冷たい風」だと思い違いした句でした。自分としては傑作だと思ったのですが、やはり「料峭の風」などのように使わなければいけないですね。

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