法隆寺西円堂へ

斑鳩の堂宇みな寂び金鈴子

今日も寒かった。

斑鳩はときおり修学旅行生もくるが観光客はまばらである。
西の端っこの西円堂はもっと閑散としている。

法隆寺の東院西院を巡って裏手に回ると、法輪寺前には大きな栴檀の木。葉っぱもみな落ちて、栴檀の金色の実が鈴生りで、斑鳩の錆色とは好対照。
俳句も今日はちょっとさぶい。

熟したか

山茱萸の粒の光りの魚卵めく

これから年を越えてもしばらくは山茱萸の実を楽しめる。

鳥たちが手を出すのはもう春に近くなってからなので、いまは全く熟してはいないのだと思う。
実際に囓ってみればすぐ分かることだが、何となく青臭い味、匂いが口の中に残るような気がして手が出せないでいる。
すでにいくつかは道にも落ちているので、今年は意外に熟すのが早い気もするが、もう少し待ってみようと思う。

下り坂

草原に人より多く羊雲

この雲が現れると天気の下り坂だそうである。

西の大和川河口方面から、羊雲がどんどん流れてくる。
10月の陽気だというので、多くの人が散歩を楽しんでいるが、空はどこまでも羊の群れに覆われているようだ。

鳥の冬備え

えごの実を好みて寄れる命かな

名前の通り、食べてもえぐい。

鳥とか蝶とか、特定の食べ物を好むのがいるのも生物の多様さである。
えごのきの実を好んで食べるのはヤマガラである。
市街地ではちょっと見かけないが、いなかの森や林ではごく普通に見られる鳥である。大きさは雀ほど。
かなりの木はすっかり裸になってしまっあが、日当たりなどの条件の差だろうか、まだたっぷり実をぶら下げたえごのきを見ることができる。
ちょっと離れて見ていると、ヤマガラがやってきては実を失敬してどこかへせっせと運ぶ姿が見られる。
冬のために集めているのだ。
ヤマガラの冬備えである。

買い出し

上諏訪は飲めずなりても新走

三輪神社に大杉玉がかかったという今日のニュース。

ということは、明日は恒例の「酒まつり」だ。
三輪神社の公式ホームページによると、
「酒造りの神様と仰がれるご祭神の神徳を称えて、新酒の醸造の安全を祈る祭典で、全国の酒造家・杜氏・酒造関係者が参列します。祭典後から醸造安全の赤い御幣と酒屋のシンボル「しるしの杉玉」が全国の酒造家・醸造元に授与されます。」
杉玉には「しるしの杉玉」と書かれた札が吊られ、全国の酒蔵に翻ることになる。

掲句は、恩師の毎年恒例の年末の買い出しにハンドル担当で何回かお供したときの思い出深いエピソードのひとつ。
決めた店の味噌と新酒を買い込み、諏訪大社下社門前では塩羊羹。ほとんどが贈答用の逸品だが、ごく親しい人たちへ心を尽くした歳暮である。

ジャムに

明日摘まんと思ふ柚子黄のさかりかな

目に見えて黄が濃くなってきた。

そろそろ収穫時期かなと思う。
姫柚子の小粒だが、出来としてはまずまずなのではないか。
捥ぐのは私の仕事だが、ジャムを作るのは家人だ。

絶滅

狼像虚空に吼ゆる秋の声

今日は快晴。

家人を連れて再度深吉野へ。
一日違えば紅葉が全く違うと言うことを知った。
紅葉は曇りがちのほうがいいというのが結論。
順光はまだしも逆光は全然いけない。人間の目でも暗部がつぶれてしまって、ハイライトの部分しか見えなくなるのだ。
カメラになるとさらに顕著で、暗部を活かそうとすれば明部が飛ぶし、明部を活かせば暗部がシルエットになるだけ。風景写真として撮るときは曇りないしは順光に限るという結論を得た。
昨日書いた通り、昨日でもなく明日でもなく今日の紅葉。まさにその通りだった。
紅葉の素晴らしさは天気、空気の透明度、湿度、光線の具合などさまざまな要因に恵まれることが条件だったのだ。まさに運しだいというわけだ。

ニホンオオカミが日本で最後に目撃(捕獲)されたのが深吉野・東吉野村である。それを記念して村に狼像が建立されたが、意外に狼は小さかった。柴犬を一回りほど大きくしたくらいだろうか。
モデルとなったのは、捕獲された後英国人に売られてそれが今大英博物館所有となっている剥製だ。
その像の狼は、異国で故郷を偲んで遠吠えでもするかのように空に向かって咆哮しているのがしみじみと哀れをさそうのである。