踊る音符

囀の一オクターヴ越えたるか

ふだん見かけない鳥がいる。

カップルのように思えるが、電線の五線譜を跳んでは鳴いて、まるで音符が踊っているである。
鳥たちにも春が来た。
歓喜の声は上下によく転がって、その音階差は1オクターブを越えて行き来しているようにも聞こえる。
間もなく、営巣、産卵、そして子育て。そうなると、今朝のような耳にも心地いい音楽が聞ける期間はかぎられている。
冬の間の探鳥は、その姿を認めるのが楽しみなのだが、これからの季節は目ではなく耳で楽しむのである。

恋の季節

囀や烏は恋の調子にて

森を歩けば鳥の声が賑やかだ。

中には、思いがけない聲も混じっているから驚く。烏の求愛だ。普段のだみ声とは似ても似つかぬ、何とも甘えた声はどうだ。
歩きながら、うまくやれよとエールを送っておいた。

宇陀水分神社

囀の降りける杉に神宿る

宇陀水分神社の神殿は国宝。

その立派な神殿の後背部が斜面になっていてうっそうとした杉の林が広がっている。その大きな杉の木立をぬって鶯が逍遥したり、高みで名の知れない鳥が歌っている。それらの声が反響するかのように、本来はしんとした境内の静けさを揺るがしていた。