恋の季節

恋猫に耳そばだたせ家の猫

そろそろ猫の発情期。

毎度お騒がせの季節だ。
ただ,最近は市街地の野良猫も嫌われてか数を減らしているようで、昔ほどはあの切ない声を聞くことは少なくなった。飼い猫はおろか野良猫も地域団体などがどんどん避妊・去勢もしているので、昔からいる猫たちはしまいにはいなくなってしまうのではないかとさえ思えてしまう。

当地では野良猫を可愛がる農家などもあって今でも彼らの健在ぶりを発揮しているが、その雄猫の狂おしい声を聞いて、床暖房にだらしなく昼寝していた家猫どもはさっそく反応し耳を立てるのだった。

一度きりの青春

恋猫の深傷舐めてこともなげ
恋猫の傷に見合ひしもの得しや
恋猫の深手と見ゆる傷なめる
恋猫の傷の意外に深手なる
恋猫の深手ものかは出撃す

季題は「恋の猫」。

「恋猫」は傍題であるが、「うかれ猫」「春の猫」「孕猫」「猫の恋」「猫の妻」など他にも多い。
今でこそ野良猫や放し飼いの猫は嫌われるが、かつてはどこの町にもいて春や秋ともなると悩ましい鳴き声や争いの声に眠りを妨げられたものである。
なかには深手ものかは傷を丹念に舐めてはまた伴侶を求めて彷徨するものもいて、なんとなくライオンの雄とおなじく哀愁を帯びた野生を感じたものである。

昔普段おとなしいトラ猫を飼っていたことがある。彼がある日突然姿をくらまし、家族をずいぶん心配させたが3,4日して憔悴しきった姿でもどってきたことがあった。その後去勢手術を施したのだが、さて彼の恋は成就したのかどうかそれは分からないが、一度きりの青春であったことは間違いない。

ふてぶてし

一瞥をくれて再び恋の猫

家猫を飼っているせいか、今頃になると雄猫がうるさくやって来る。

ことのついでに、匂い付けもしていくので臭くて仕方がない。
トイレの砂などを入れた袋を外に置いておくと、そいつめがけてシュッと吹きかけていくのだ。
この時期の匂いは相当強烈で、すぐにそれと分かる。
で、対策として大きなゴミ入れのダストボックスのなかに、用済みの砂袋を格納するようにしたのだが、玄関脇などに置くのはどうにもみっともなくて仕方がない。かといっていちいち不便な場所に置くのも何かと面倒である。
この季節だけの辛抱かと思って、やり過ごす他はない。
そうこう言っているうちにも、不敵な顔をした雄猫がやってきて、人がいると知るとフンとこまっしゃくれた風に通り過ぎていくのがふてぶてしい。

横取り

領外に野宿いとはず恋の猫

ふだん見馴れない猫がみぃちゃんのいつもいるところに昼寝している。

ここ数日、夜になるとうるさくやって来る奴の正体はこいつだったようだ。
みぃーちゃんは恋の相手にはなれないので、図々しく寝床を横取りしたようだ。
一喝すると慌てて逃げていったが、明日もしつこくやってくるかもしれない。