ストレスフリー

豪邸に似合ふ犬ゐる花の庭

数百メートルの當麻参道には立派なお屋敷が居並ぶ。

門から7、80メートルくらい入ったところの邸宅などは、道路からやや上り気味になっているのでちょっとしたお城にも見えてくる。
おりしも、庭の大きな桜が満開を誇っているときで、こんな家で飼われるとこうなると言わんばかりの鷹揚とした大型犬も見える。
たいしたものよと感心もするが、わが家の猫どももまあまあストレス少なく転がってるので良しとしなければなるまい。

立会人

死票を無言で投ず花の昼

知事と県会議員選挙の日。

投票所入り口の満開の花とはうらはらに、投票所は閑古鳥。われら夫婦以外は役所の人間と立会人だけ。
花の日曜日と重なったことよりも、全政党が推薦の知事選とただでさえ指定席の定員減の県議選では闘う前に結果が見えてる選挙とあっては白けるのも当然であろう。
せめての意志を投票箱に放り込まんとするとき、パイプ椅子の立会人ふたりと目があった。

慌ただしく

自分だけの標準木に花みつけ

ひそかに自分の桜と決めている木がある。

今日そのマイ標準木が開いたのを確認した。
大阪は開花宣言したらしいが奈良はまだ、明日も無理だろうと言うが、同じ奈良でも環境が違えばこうもちがうものか。

東京では今日一気に満開宣言という報に驚くが、こんな暖かい日が続けば当地もすぐに満開を迎え、短い桜となるかもしれない。
何との慌ただしいことである。

溶け込む

峠まで花の名残を惜しみけり

里の桜はおおかたは終わった。

というので、少し高いところに登ればまだ花が残っているかもしれないと、大阪方面に出かけた帰りは竹内峠を越えることにした。狙いはずばり当たり、峠近くの桜は満開が過ぎたとは言えまだまだ楽しめる状況。こういうのを残花と言うのかどうか知らないが、名残の桜もなかなかいいものである。
山全体を見てみれば、終わりを迎えた山桜が今しも新緑の山肌に溶け込んでいくばかりで、やがてそこに桜の木があるとは誰も分からなくなるにちがいない。

ボツ

異国語の混じりさざめく花堤

今月のまほろば句会は散々な結果。

主宰選の結果が届いたがすべての句がボツ。こういうときはめげるんだよね。
ま、終わったものはしょうがないから顔を上げて出直しだ。

家から見える光景

遠桜日ごとに山の満ち足らふ
たけなはの花の端山を司り

2階の窓は遠くの桜がよく見通せる。

近くでは八幡さんの森に混じって、遠くでは大和川対岸の丘の上一面に。どれもが昨日あたりが満開になったようで、それまでの数日間薄桃色の花が日に日に嵩を増してゆくのが手に取るように分かるのだ。普段はそこに桜の木があることなどまったく気にもかからないが、この時期だけは別物のように心を捉えて放さないのである。

夕べの強い雨、そして今日の強風があだとなり多くを散らしてゆくのだろう、今日はいくぶんやせ細ってきたようにも見える。まもなく花が終わり代わって新緑が目を射るようになる。

ぞめく

花をもて農のはじめとなす土地の

一本桜というのは全国に意外に多いものらしい。

三春の「滝桜」はあまりにも有名。ほかに飛騨の「薄墨桜」、盛岡の「石割り桜」、当地では宇陀の「又兵衛桜」がある。
テレビで知ったのだが、佐渡島だったか「種まき桜」という木があって、この花が咲くと種籾を蒔くのが慣わしだという。南から北まで、いろんな人たちの、僅か1週間足らずの命の桜にいろんな思いを抱いてざわめかしてゆく。