見渡せば

明治橋昭和橋へと花の屑

それぞれ架けられた時代の名前だろう。

あとで完成した昭和橋が国道として交通量も多いのに対し、明治橋は100年前にあった先輩なのだが今は県道として立場が逆転している。
桜のころは、川面が盆地中の落花で覆い尽くされるが、いま両橋のあいだの河原、土手は遠目には菜の花だが、実際は西洋芥子菜が咲き誇っていて黄色一色である。
しかし、これもやがて夏となると、また別の渡来植物に席巻されて様相が一変する。
冬またすべて枯れ、春となればまた花屑、芥子菜へと繰り返される。
ダイナミックな変遷がごく身近なところで繰り返されてるのだ。

風のいたずら

桜散る山の公衆電話にかな
花吹雪山のポストの仁王立
花屑の風紋たえず変化して

今年の花吹雪は豪快である。

短期間に満開になっただけあって、散るのもタイミングを合わせたようで、いつもの三々五々ではなくて一度に散ったというところだろうか。
舗装道路にこぼれた花屑が、砂紋、風紋を描くようにして右に左に風にもてあそばれるのも、いよいよ春が深まった感を強くするのだった。
桜吹雪が、無人の電話ボックス、郵便ポストに降りかかるのを見るものとてなく、当尾の里の春はたけてゆく。

散りしいて

花屑をかしこにタイヤ回りたる
花屑の無垢悲しけれ雨上がる

雨が上がり、花が道路に散り敷いている。

車のタイヤにも、靴の裏にも、道路をゆくものには花びらがひたひたと着いてゆく。