はなやかに

産院のフェンスの薔薇をみとがむる

南に開いた広い庭。

そのオープンなフェンスの丈をこえるように薔薇が咲き乱れている。
産院のもののようだ。
通りすがる人には豪華な花だが、通う人にはどう見えてるだろうか。

住めば都か

別荘地終の栖に薔薇の垣

こんな山奥に人が住むのかというような場所にその別荘地は開けていた。

別荘は大半が閉ざされているが、中にはどうやら定住していると思われる人たちもいるようだ。
先日吟行した室生・深野地区は三重県名張市と接する境にあり、一帯は日本の里百選(朝日新聞)にも選ばれているが、別荘地はそこからさらに山を登って一段と高いところにある。別荘地の名前も「峠」というくらいである。
しかも、町からは相当離れているし、交通の便だって車だけが頼りだが、その道路ときたら狭いうえに峠をいくつも越えていかなければならない。別荘地と言えば那須、清里高原、伊豆高原など観光名所としても名高いイメージがあるが、ここはおよそそのような華やかさからはかけ離れている。

長い期間都会生活に馴染んできたので当地でさえ不便この上ないが、日常の買い物や医療など、このような山に移り住む生活というのはとても我慢できそうもないように思われてくる。

そういう土地でも大変気に入って住んでおられるようで、周りをきれいに掃除され、庭の手入れも行き届いている家が見られた。四季咲きだと思うが、丹精込められたのであろういっぱいの薔薇がフェンスに沿って咲き、広い庭には菜園だろうかご夫婦が精を出して作業しておられる光景が目についた。

小宇宙

薔薇三本卓上小さき世界かな

大雨が降るというので咲き始めの薔薇を庭から切ってきた。

益子か何処かの小さくて地味な花瓶に立てただけだが、色つやのいい葉とビロードのような花の組合せが妙にマッチしてしばし眺めるのだった。