初蝉

遠蝉を女教へる朝餉かな

蝉が遠くで聞こえた。

八幡さんの杜からだろう。耳をすませば、初蝉とは思えぬほどシンシン響いてくる。
蝉の風が思ったより涼しくて、もしかしたら今日が秋の初めなんではないかと思うほどだが、熱さの本番はこれからだろう。
とっくに鳴き始めていたんだろうが、連日の熱さで窓を閉めてエアコンを回していることが多いし、気づかなかっただけにちがいない。たまたま日曜日で往来の車が少ないこともあって、聞こえたというわけだ。

実際のところ、わが家では男が気づき女に教えてやったのだが。

何か為せと

蝉の朝忙し忙しと言ひ募る

鶯に代わって蝉がよく鳴くようになった。

それも、朝早くから「ワシワシ」と鳴くのは関西ならではのクマゼミであろうか。
もっとも、今では首都圏に進出して西特有のものとは限らなくなったかもしれないが。
雑用しながら聞くともなく聞いてると、あの騒がしい声はいかにも追い立てるようであり、時間がない、時間がないとばかり身に迫ってくるようにも聞こえる。
それでなくても朝からすでに充分に暑く、今日は特別さらに暑くなるぞと教えてくれるようでもある。

蝉の不作年?

叢入りて蝉の恋路の邪魔となる

草むらにうっかり足を踏み入れたところ、まさに行為中の蝉を驚かせてしまったらしい。
ジッと一声鳴いて目前を飛び去ってしまった。
いつになく蝉の声が遅い年だが、気づかないところで生物たちの営みは続いているようだ。