耳遠く

筆談に頼るほかなし雪の下

「雪の下」はちょっと時期を外れたかもしれない。

どちらかと言えば花の時期は梅雨の初め頃になるからだ。
ただ、梅雨と言えば紫陽花というのが相場だが、この雪の下が樹の陰などにひっそりと咲いているのはなかなか捨てがたい風情がある。
また、あの天麩羅にしてもうまい葉の深緑の色と縞模様の取り合わせが生き生きと映えるのもこの季節だ。

母親と意思疎通をはかる手段が筆談だけになってしまった今、ふだん見過ごすような雪の下の存在に気がつかされる。

天麩羅で

天ざるの今日の色立つ雪の下

ここ数日玄関脇の植え込みが明るい。

二、三年前に植え替えた雪の下の株が今ではずいぶん増えて、下草の役割をおおいに果たしているようだ。
それが、ここ一週間ほど鴨の足に似た可憐な花をいっぱいつけて目を楽しませてくれている。
ある万葉植物園で、何の木の下だったか忘れたが、やはり可憐な白い花をつけているのを発見し、以来いつか庭に植えてみたいと思っていたのであるが、ようやくさまになってきたようである。

天麩羅でいただくことにしているが、味もないのに妙にうまい。