稲架の穂の奥にのぞけるあをさかな
曇天に黄を放ちたる粟立草
葛咲いて泡だつ花とせめぎあふ
散歩の歩を菜園まで伸ばした。
帰りは少しの上り坂とあってきついものがあったが、休み休みしながらいつもなら十二、三分のところを倍かけてようやく家にたどりつけた。
しかしながら、久しぶりに目に飛びこむ景は新鮮なものがある。ふだんは見逃しているかもしれないものにも心が動かされる。
今日の処は「色」であろうか。
日の恵み、風の恵みを受けて熟成が進んできた稲架の色合いにも近づいてよく見ると、奥のほうにはわずかな緑が残っている。かと思えば、曇天にかかわらずというか曇天のなせる業か、背高粟立草の黄色の鮮やかなこと。思わず目をこらしてしまうのだった。
荒れ地での葛と粟立ち草の縄張り争いも見ものだった。さて、どちらが征するか。