精気を奪う

掃苔の客の跡なる花萎び

兄妹揃って参ることはまれである。

父母ともに故郷にいなくなると、離れて暮らしている兄弟は、いろいろ都合があって墓参の日取りを合わせられない。しぜんに、個別に参ることが慣わしになっている。
たいていは墓に近い妹夫婦が先に参ってくれているようで、いつもお参りするときにはきちんとお花を供えてくれてある。秋とは言え残暑は厳しく、水は湯のようにもなって花から精気を奪うのだろう。痛んだものを取り除き、新しい供花を足すわけだが、熱い墓石にかけた水はたちまち乾いて、つくづく石の中の仏は辛かろうとつい声をかけてしまう。

“精気を奪う” への2件の返信

  1. 長年風雨にさらされた墓石の苔は簡単にはきれいになりません。
    地域の墓は苔蒸していますが墓地公園は管理がしっかりしているのでいつ行ってもピカピカに輝いていて気持ちの良いものです。

    この時期の花は長持ちしないので必ずシキミの葉を添えることにしている。
    緑の葉が花を引き立たせてくれるし枯れにくいです。
    おっしゃる通り朝晩に水を変えても湯水のようです。
    夏場はなるべく実家の冷たい井戸水を使う様にしています。
    近くに妹さんご夫婦がいらしてご両親もお喜びでしょう。
    私たち姉弟も滅多に顔を合わせません。
    なるべく花を枯らさないうちにとは心がけていますがなかなかそうもいきません。

    明日はお気をつけて、渋滞も多少は緩和されるでしょうか?それともUターンのピークでしょうか。
    鰻もご賞味されるかしら?
    今回は鰻は諦め来月に延期です。

    1. 「掃苔」は文字を終えば苔を掃除することですが、仰るように苔むした墓というのはよほど条件の悪いところでないと見かけませんし、あったとしても相当古い時代のものが大半でしょうね。実際は墓の周りの除草とか、花筒、線香立ての掃除など、実態はいわゆる「墓洗ふ」という季語と同じに使われます。

      今日は雨模様で墓石は熱くはなかったですが、さすがに盆花は枯れかけていました。
      鰻は待つこと1時間半。駐車場からあふれた車で店前の道路は渋滞。こんがり炭焼きの香も楽しんできました。

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