台形の峰

寒晴やキックボードの姉弟あねおとと

寒晴と言うに相応しい今日。

はるか南、近畿の屋根と言われる大峯の嶺々の稜線がくっきりと見える。
そのなかでもやはり近畿最高峰八経ヶ岳の姿形は威厳がある。家からは単独峰のようで台形に見えて周りの山々を従えているようである。
雪は残っているはずだが、それほど白くは見えない。全山が遠目にも白く見えるには例年のごとくあとひと月くらい待たねばならないだろう。
そんな景色がよく見える坂道を、塾通いのリュックと思われるものを背負った姉弟が仲良くキックボードを蹴りながら降りてゆく。キックボードの下りは楽だろうが、昇りとなると大変なのではないかと思うのは子供たちにとっては余計な心配でもあろうか。

雪の予報

山眠りにつくとき風黙らする

ようやく眠りについたような気がする。

先ごろまで山の紅葉の気配も徐々に褪せつつあったが、今日あたりは枯れ色に落ち着いてすっかり冬山らしくなっている。
風もなく空は薄曇り。山が静かに長い眠りにつくには絶好のコンディションである。
赤ん坊を寝かすように、そっと、そっと。
空気は冷たいが、山膚が澄んでよく見える。
今夜から雨となり、明日の夜はいよいよ雪が降るという。それを予感するかのように山は眠りについた。

風呂、飯!

水打つてけふのけじめの刻となす

夕方の水打ちで一日のけじめとなる。

朝方の水やりでは汗をかいてしまって不快なスタートになるので、暑さが本格化すると夕の水やり、水打ちとなる。
どんどん涼しくなってくる時間だし、たとえ汗をかいてもほどなく湯浴みの時間となるので苦にならない。
汗をかいた腕などにも水をかけてやれば気持ちもいいし、つぎつぎ襲ってくる蚊も撃退できる。

ご自由に

除湿器にマスクの眼鏡くもりけり

診察券を出すが早いか、マスクをつける。

月一度薬をもらいにクリニックへ行くのだが、インフルをもらっては大変だから受付カウンターに「ご自由に」とあるマスクを一個もらう。日常マスクをすることはないが、都会に出たり、今日みたいにクリニックにいくときは予防のため必ず使用する。
眼鏡をしてじた時分はこれが厄介で、満員の電車、暖房を効かせた部屋などでは曇りとの戦いである。
内科クリニックでも除菌を兼ねた除湿器の白い霧がもくもくたっており、エアコンが入っていてもそれなりに湿度が保たれているから、瞬間周りが真っ白ということも珍しくない。
老眼がすすむとともに近眼が治ってきたのが不思議で、もう7、8年は眼鏡なくても不自由しなくなったから、マスクの敵はなくなったのだが。

當麻寺吟行

雨兆す風に落花のしきりなる

當麻寺吟行の日。

ちょうど練供養の日に当たり、花も期待できるとあって楽しみにしていたが、予報では昼頃より雨。
10時頃山門に着く頃には急に風が変わって、いよいよ雨催いの空である。
仁王門の桜が一陣のつむじ風に巻き上げられて落花おびただしい花吹雪となる。
雨兆す風と落花と。これは句になるに違ないのだが、いまひとつ物足りない。とくに下五が平凡に過ぎるのである。

その答が出句のなかにあった。

雨を呼ぶ落花の風となりにけり

完全に脱帽である。
案の定、主宰の特選となった。