親の目

卒業のともに制服つんつるてん

昼前に子供たちが下校してくる。

胸に大きなピンクのリボンをつけてもらって肩を並べて歩く父兄も着飾っている。
どうやら当地の小学校の卒業式があったらしいと分かる。
小学校六年生となれば急に身長が伸びてきて親たちとたいして違わない子も多くなった。
公立ながら制服の決まりがある学校なので、そんな子たちは制服の上着も下の半ズボンもパツンパツンにはちきれている。
この子たちが四月になって中学入学ともなると、今度は一転してダブダブの袖にぶかぶかの長ズボンの制服に替わるにちがいないと思うと、親の目になって子供たちの成長がまぶしく見えてくるものだ。

根雪

嫁ぎ来し国を呪へる雪解どき

母の口癖だった。

三月の今ごろになると、雪解けでなにもかもが泥に覆われるかつて暮らしていた北陸の土地を嫌った。新婚当時夫(私にとっては父)の仕事に従って異国にやって来たが、この根雪が解けた泥濘の暮らしを一番嫌った。このことを後年何度聞かされたことか。
昔とちがっていまの北陸には根雪はほぼなく、降ってもすぐに解けてしまうらしいので雪解けに難儀するということはもうないはずであろうが。
私の生まれたその日は大変な大雪であったそうな。

着々と

触るるもの蔓にからませ豆の花

防寒に仕立てた藁であろうが、笹であろうがお構いなし。

気温が上がってきて豆の蔓がぐんぐん伸び出した。早いものはもう花をつけている。花が終わるといわゆるえんどう豆。若い莢のままを採れば絹さや、青い実まで待てば実豆。最近は絹さやと実エンドウのいいとこ取りのスナップエンドウもでてきて賑やかな春の畑をいろどる。
ここ二日ほどの好天をさいわいに春の農作業が着々と進む。

棚上げ

メガソーラー工事中断山笑ふ

遠目にも痛々しい。

今日のように天気がいい日はなおさらだ。
ソーラー発電基地を作る計画で始められ山膚がざっくりと削られてから、詳細を知らされてなかった住民が反対して開発を許可した県も棚上げせざるをえなくなった土地だ。
山土が剥きだしになったまま、周囲が芽吹きの兆しをみせていよいよ山にも春がやって来る。

e-TAX

東風のビルくぐりてもらふ処方箋
申告書投げ込む東風のポストかな

天気図は素晴らしかった。

しかし気温は期待ほどは上がらず、しかも強い東風。
毎度そうなのだが、やはり確定申告書なるものは締め切りギリギリまで腰が上がらないのは悪い癖である。
e−TAXを使えばスマホでも提出可能なのだが、生保など各社との連携を事前に済ませることが必要で、これが去年でもそうだったけどどうしてもうまくできないのである。会計ソフトなど使えばデータは簡単に作れるので、ここでいつも引っかかる。
結局すったもんだのあげく二時間もロスして、毎度の郵送提出となった。
去年までは国税奈良支部宛てなのだが、今年からは大阪の税務署となっている。悪評プンプンのインボイスのせいで大方はデジタル化に移行したせいだと思うが、例外の郵送申告の事務もまとめて一括処理しようということだろう。
さいわいビジネスがコンパクトでインボイス処理が不要事業者であるのがさいわいして、おおきな問題もなく申告したのであるがさて無事にパスするだろうか。

発祥は

春めくやこんなところに瓦蕎麦

竹内街道の近く、当麻の道路沿いの何の変哲もないところに瓦蕎麦の看板。

珍しい店があるもんだと思って調べたら、瓦蕎麦の発祥は山口県らしい。
関東でもやはり見たことはなかったのが合点がいった。また、どこかローカルのイメージがあるうえ、蕎麦よりむしろうどん圏の関西で見かけるのは意外なことである。
蕎麦と言えばざるというイメージなのでいつも通り過ぎるだけで終わるが、春になったことでもあるし次の彼岸参りのついでにでも寄ってみるのは悪くない。

一変

河津桜目当ての臨時駐車場

今日は朝から冷たい雨でクリニックへ薬もらいに行っただけ。

そこで一昨日のネタになってしまうのは仕方がない。
ふだんなら渋滞がないところを、信号待ち何回か。なぜかな?と考えてみれば近くには県立公園がある。すると、この時期は何だろうかと考える。
梅か?いやこれはもう終わってるはず。そこでまた考える。(渋滞で考える時間はたっぷうりある)。
あ、そうかとガッテンのこぶしを打つ。新名物「河津桜」だ。幼木がこのほど数年で花をつけるようになって年々人気があがってるようだ。たまたま日曜日の人出に遭遇したのが原因。
たしか、越してきてまもなくの春、やたら混むなと思ったらその公園のチューリップ祭とぶつかったのだった。
当地は、平日の道路はスムーズに流れるが土日となると一変する。どこへ行くのか知らないが、あちこちで渋滞にはまってしまう。行楽の少ない土地だけにいったいどこへ出かけるのか不思議でならない。