姉と弟

二上をはるかに歌碑や蘆茂る

吉備池池畔の句碑
もゝつたふ磐余の池に鳴く鴨を今日のみ見てや雲がくりなむ 大津皇子 巻3ー416

大伯皇女の歌碑
現身の人なる吾れや明日よりは二上山を弟背と吾が見む 大伯皇女 巻2−165

磐余の東にある吉備池から西には二上がはっきりと見える。

大津辞世の歌、姉の鎮魂歌の碑が葦茂る吉備池畔にあるが、姉弟の響き合うような歌の調べを聞くにはまことにふさわしいロケーションと言えるだろう。

追)池のすぐ北にある春日神社には皇子と皇女の別の歌碑が建っていると聞いたのですが、団体行動なので機会をあらためて訪問したいと思います。皇子のは懐風藻からの漢詩です。痛切な響きです。死に臨んでこのように歌えるというのは、言い伝え通り皇子の非凡な才を示していると思います。

“姉と弟” への2件の返信

  1. 二上山を背景に悲運の姉弟の情愛が伝わります。
    特に大来皇女の弟を偲ぶ歌、蘆の茂みも哀しげです。
    共感の思いが伝わる一句です。

    1. この姉弟との不思議な縁みたいなものに引き込まれるようにして奈良に来たので、二基の歌碑を見つけたときは本当に驚きました。
      隣の春日神社の歌碑のくだりを本文に追加しました。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

このサイトはスパムを低減するために Akismet を使っています。コメントデータの処理方法の詳細はこちらをご覧ください