行秋を古歌に親しむ飛鳥かな
収穫(とりいれ)の音が飛鳥野の各所に響き渡る。
昔とちがって昨今は即日脱穀してしまうので、あっというまに米袋が積み上がる。
それを軽トラの荷台にうずたかく積むと、前部が簡単に浮き上がってしまう。豊作である。
そんな光景を目にしながら、この水曜日、よく晴れて万葉集購読会に行くのもすがすがしい気分に浸る。講師は声が素敵な女性研究員。万葉集の世界では人ぞ知るアイドルである。
今月は第五巻終盤の目玉ともいうべき憶良の「貧窮問答歌」の長歌、短歌各一首(892、893)の熟読で、一時間半があっというまに過ぎてゆく。これから年度後半にかけて憶良の歌がずっと続く予定だ。
飛鳥で万葉集それも憶良、これ以上の条件はないですね。
羨ましい限りです。
今日はこの後、女子会で下呂温泉まで行きます。
お湯におしゃべりに御馳走、秋の夜長延々と続きそうです。
憶良は貧しい出でしたが、遣唐使となるほどの優秀な無官官僚だったようです。晩年ようやく筑前国司を得て、そこで見聞した民衆の公民に苦しみや、おのれの貧しい体験などをベースに、中国で学んだ仏教思想なども背景にあると歌とされています。このあたりは、文学としてみるとどこまでが実体験なのか断定できないというのが結論のようです。
しかし、ご存じの通り、家族愛にもあふれた歌が多く残されてますし、人生の機微をとことん味わった人物として共感がもてる人です。
都へはやく戻りたいとか現世的な欲求も隠さず、なんとなく、兼好法師のような人に見えてきました。