濡れ羽色

ビスケットこぼす高枝梅雨鴉

春日大社の外国人観光客のおびただしいこと。

その観光客の残りものを狙う鴉もまた集まってくる。
めざとく見つけたビスケットは梅雨湿りでもしていたのであろう。
ぼろぼろと崩れるのを咥え高い枝に移る。
雨の春日の森の暗いなかでたくましく生きる鴉の黒は、まさに濡れ羽色で美しいものだった。