隠れ里しのばせ雑木紅葉山
この二、三日背後の山が見事な変貌ぶりである。
信貴の山からなだらかに尾根が里につづくが、普段は何の変哲もない雑木の尾根である。これが秋が深まり冬に入る頃には全山がみごとに黄葉し、さまざまな種類の木がそれぞれの色を競うように全体を染め上げあたかも全山が覚醒したかの様となる。
家を出て少し行くと全体が見渡せるコーナーに出るとそれが眼前にばあーっと広がるのである。信貴の天辺から尾根の末端は小学校まで、180度のパノラマである。
尾根の途中には木立に囲まれて麓からは見えないが古くから信貴畑という集落があり、ここは土地の地蔵講の人たちによって毎年勧請縄が掛け替えられてハイキングコースの目玉地でもある。
尾根の中腹にはこれも裾からはうかがい知れない大きな溜池があって古くから平群の田をうるおしている。
見かけは何の特徴もない尾根であるが、隠れ里的な集落を護る尾根でもある。