浮いてこい

かいつぶりあらぬところにあらはるる

カイツブリの潜水時間は意外に長い。

感覚的には30秒くらい潜っているように思えるときもある。
そうなると、いくら目を凝らしていても、ここら辺りかと待ち受けているところには浮かばなくて、まったく予想もしないところにポッカリ出てきて驚かされる。
潜水が長いということは、それだけ餌を探している時間が長いわけで、カイツブリにとっては望むところではないだろう。
今度目撃したら、早く浮いてこいと声援を送ろうと思う。

鳰の川

逆波も倦まず狩りするかいつぶり

当地の今日は西風。王寺の町を大きく迂回する大和川に逆白波がたっている。

ヒドリガモの群れがいっせいに飛び立って下流側に向かうが、風に煽られて隊形がまるで下手なゴルファーのスライスのようにすぐに乱されてしまい、しまいには大きく弧を描いて戻されてしまったり。
そんな光景を何度か目にしたが、一方の水面では今日もいる、いる。
カイツブリ君あるいは嬢がただひたすら潜っては顔を出し、潜っては顔を出しを繰り返している。
行きがけもそうだったが、帰りがけにも同じような場所でひたすら同じ所作を繰り返しているので、最低でも2時間はそうしていたことになる。よほど餌にヒットする確率が悪いのだろう。

ここ数日は幾分気温が高めなせいで耳がちぎれるような痛さはない。
今晩から冷えこんでしばらくの間は寒い日が続くそうだが、年間の寒さのピークであっても春がどこかで動き始めているのが予感できる。