プラチナタイム

こほろぎの宿とも思ふ湯浴みかな

静かに浴槽に身を漬していると、まるで極上の露天風呂に入っているような気分である。

それも「こほろぎの宿」として名を知られる秘湯のような。
日が落ちて(そういえば日暮れが随分早まってきたような)その日のやるべき事も終えて、汗を洗い流す時間というのはプラチナタイムだと思われる。

小さな命

こほろぎが夜釣りの友の沖堤かな

20年以上も昔だろうか。
当時はクロダイにのめりこんでいて、休みとなると昼は磯間、夜は堤防に張り付いていたものだ。
ある夜のこと、横浜沖の堤防に渡してもらっていつものように堤防を探っていたら、こおろぎの鳴き声が聞こえてくるではないか。
舟か人の荷物に潜りこんでそのまま居ついてしまったのだろうが、海が荒れたらひとたまりも無い命が哀れだった。