増水の引いて大漁下り簗
キヨノリ君とのやりとりで那珂川の簗を思い出した。
那珂川は全国屈指の鮎の川で、那須を源流として常陸へ下る全長150km。その中流域が鮎街道ともよばれ、車を走らせると窓外にいくつか簗場を見ることができる。
見るからに涼しそうな光景で、時間が許せば途中下車してみたくなるのは当然かもしれない。
V字形にせき止めた口に簀を設けていて多い日には魚がどんどん打ち上げられるので、子供に限らず大人だって活きのいい鮎を手づかみする誘惑には勝てない。
このように普段だったらまことにのどかな風景なのだが、いったん川が荒れたら大変だ。下手したら大増水でもあれば一気に簗が流されてしまうこともある。客は気楽なもので、手づかみの遊びはあきらめて、生け簀に飼われた魚を食べるだけであるが。
10月末になると鮎もすっかり落ちて簗の役割は終わり、来年の初夏、あらためて簗を組むことになる。
最近は人工孵化したりして鮎の遡上を増やそうという試みが全国に広がっていると聞く。
日本の夏の川に鮎は欠かせない。関係者の地道な努力に感謝もしたいし期待もしたい。