瑞々し

ある晴れた九月の朝に蝶生まる

秋の蝶というと弱々しいのが季語の本意である。

が、今の時期でも羽化する蝶がいるのだ。
日課の水栓で水を汲もうとしたら、目の前でその朝羽化したばかりと見える揚羽蝶がゆっくり翅を動かしている。生まれたばかりだから翅や胴体は何の傷もなくみずみずしく映る。
しばらく見ていると、その頻度がちょっとずつ上がってくるのが分かる。もうすぐしたら飛びたとうという構えだ。
昼前に再びその場に行くと、もう揚羽蝶の姿はなく、羽化したさなぎの殻が残っているだけだった。