半世紀前のこと

鳶口に伐竹継いで杣の衆

村の外れから伐ってきた青々とした竹を燒く。

燒かれた青竹から油が滲み出て、やがて薄茶色の艶を帯びてくる。
火で焙れば竹の腰が強くなるのだ。それに、燒かれてほとぼりの冷めぬ間なら曲がった節を矯正もできる。
盆休みも終わってまた日常が戻り、今日から山の切り出しなのだ。
鉈を帯びた腰には野沢菜で巻いた目張りずしをつめた弁当も巻き、手には焙った竹に継いだ鳶口を握っている。
一同が揃うとめいめい三輪オートの荷台に乗って今日の山へ向かった。
今から5、60年ほど昔のことだ。