二月堂へ

正倉院右二月堂凍ゆるむ

東大寺裏はまだ人もまばら。

岐れ道にかかると、二月堂あるいは正倉院への道しるべが控えめに、しかし明瞭に示されていて、ここへ来るたびに今日はどっちにしようかと迷うところでもある。
あたりを見回してみると、芝地が広がっていて、例によって鹿の糞がまばらに散っているのだが、ここのところの寒波で半ば凍っていたと思えるところが緩び始めているようだ。
ゆかるみを踏まないように芝地を歩いてみたが、舗装路ではない独特の感触が足裏にこころよい。
その余勢をかって二月堂の坂を進むことにした。