孤高

凍鶴の眼中おかず吾も檻も

鶴は動物園でしか見たことがない。

檻の前に立っても、身じろぎもせずただ眠っているように首をすくめるときもある。
しばらく対峙していてもなんの反応をみせてくれないと、たまらず根負けしてしまって、急に寒さを感じてしまうものだ。
鶴ではなくて、散歩で見かける鷺の仲間も同じようなところがあるが、よく見てみると寝ているのではなくて、獲物を狙ってじっと動かずにいるだけのことの方が多い。
鴨の浮寝というのはどこかのどかという風情が伴うが、厳寒の鶴の寝姿は孤高そのものであろう。