百草園

かたかごのかんばせ風に伏せしまま
かたかごのなぞへすなはち城の山
かたかごの花のしりへを城山へ
かたかごの花のなぞへに城下町
かたかごの褪せたる花のそよぎかな

森野薬草園は宇陀松山城の麓にある。

城下町の面影を強く残す町から急な石段を登ってゆくのだが、その途中の斜面がカタクリの群生地となっていて先月末から咲き始めた。
今年こそ行かねばとその時期を探っていたのだが、つい出遅れて今日になってしまった。案の定もう盛りは過ぎたとみえて、花は褪せが目立つ。それでも七曲がりする急磴の斜面いっぱいに咲いているのは壮観である。
振り返れば、持統天皇の薬狩りで有名な安騎野の広がりが眼下にある。
ツムラなどよく知られる薬メーカーのいくつかはここが発祥地である。
急磴を登り終わると薬草園が山の斜面にひろがり、その種類だけで200以上。文字通り百草園であり、ふだん見なれた草の大方は薬となると知って驚かされる。
薬草とはいってもそれぞれ花も咲かすわけで、カタクリだけではなく春、夏、秋といろいろな花も楽しめるようである。
花の季節も記したパンフレットがもらえるので、それを見ながら季節ごとにも楽しめそうである。

また、薬草園のすぐ脇を城山へ通じる立派な道が整備されていて、さらに500メートルほど行くと到着できるようである。
ここもまた、次回の楽しみにとっておくとしよう。