霧散

鶯の聞くとはなしに夏を啼く

信貴山から流れる細流に沿って鶯が渡っている。

夏野菜の大方の作業は終わったが、残された細かな作業をこの暑さのなか無心で取り組んでいると、鶯の声だけが無識のうちに通り過ぎてゆく。
このようにほとんど自己を殺して無になれる時間というの、は何ごとにも代えがたい貴重な安息な機会ではないかと思えてくる。人といえども自然の一員であるという謙虚な気持ちを持ち続ければ欲というのものが霧散してしまうのだ。