満五歳

つはりとふ兆しありしか孕み猫
大通り駆け抜け通ふ孕み猫
ここ二日通ふことなし孕み猫

子供たちが生まれたのは五年前のちょうど今頃だ。

それまで、毎日三度の給餌に欠かさずやってきていたのに、急に姿を見せなくなったのはどうやらそのときお産を迎えていたのだと後で分かった。通りをへだてた農家の納屋が産屋と見られ、その付近で何回か目撃していたが、一月半ほどして、早朝突然庭先に子猫四匹を連れてきたのには驚いた。
母親は前年生まれでふらりとやってきた野良ちゃんだが、もともと小柄で小太りしてたし、おなかも目立っていたわけではないのでまさか妊娠していたとは思いもしなかったのである。
その後の話は、ここで何回かふれた。
四匹のうち一匹は事故があったらしく突然姿を消したので、家にいるのは三匹で、今日は夕方から炬燵を入れてもらってのびのびして寝ている。