8月15日

梵鐘の銘を目で追ふ敗戦忌
戦死者を刻す鐘鳴る敗戦忌

戦後に鋳造された梵鐘は多い。

なかには、はっきりと戦死者の名を刻んで、さきの戦争に散った若者たちのために作られたものもある。
ひとつの村で梵鐘の半面をおおうほどの戦死者の名があるということは、村の大半の若者が犠牲になったということである。
家人の実家の墓で見た七基の従兄弟同士の規模をはるかに上回るものである。
理由もなく自国の優位性をひたすら信奉し、何やら勇ましい発言があちこちで聞かれる昨今、かつてそういう言動をとった人たちに限って戦後もちゃっかり、しかものうのうと生き延びた人が多いことを忘れてはならない。